お客様の涙の理由
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10年程担当させて頂いているあるお客様の話。
前日に御予約のお電話があり、いつもはそんな事ないのですが、今回は珍しく「平松さんに繋いでもらえますか?」と。
電話に出た僕はいつもの感じで、
平松「〇〇さん、こんにちは!!どうされましたか?」
お客様「すいません、お忙しい時に。。。実は明日伺おうと思っているのですが、今回はバッサリカットして、イメージを変えようかと思ってまして。。。」
平松「かしこまりました^_^イメージなどは決まってますか?」
お客様「いえ、平松さんのお任せでお願いします。。。」
(´-`).。oO(何か大切なイベント前なのかな?電話変わってまで伝えるって事は、よっぽどの事だと思うし。。。よし。スタイルのイメージしっかり考えておこう。。。
そんなやりとりを終え、御予約当日
〇〇さん、こんにちは!!
今日はバッサリですよね?
どのくらい迄切ろうか等、決まってる事はありますか?
お客様
「いえ、もう本当お任せで。平松さんの事は信頼してますので。似合う感じでお願いします」
平松
「かしこまりました^_^
では、この辺りはこのぐらいの長さにして、、、、
10年担当させて頂いていて、ここまでバッサリ切るのは初めてだったので、いつも以上に慎重にカウンセリング、長さやイメージの共有をしっかりして、いざカットスタート。
いつもすごくお話をされるお客様なんですが、今回はカットが始まるとスッと目を閉じ、雑誌も手に取りません。
(´-`).。oO(あれ?今日はいつもと感じが違うな。。。疲れてるのかな?それとも、何かあったのかな?ちょっと様子見ながら進めていった方がいいかな。。。。
そう思いカットを進めていきました。
8割がたカットが終わった時、その瞬間は突然やってきました
何と、お客様の目から大粒の涙がポロポロ。。。
え??何で??
一瞬パニックになりました。
もしかして切りすぎた??
いや、そんなはずは。。。
カウンセリングでもかなり慎重に共有できたはずだし。。。
いやでも、もしかしたら。。。
そんな事を思っていると、お客様が一言
ごめんなさいね。
スタイルの事で泣いているわけではないのよ。
ただ、色々あってね。。。。
今日は思い切って自分を変えたかった。
だからバッサリ切ろうと思ってね。。。
深くは聞きませんでしたが、きっとそのお客様にとって何か大きな出来事があったんだと思う。
その出来事はきっと辛く悲しい出来事だったのだろうと容易に想像できた。。。
ご来店されるお客様は色々な想いで美容室を訪れる。
綺麗になりたい、可愛くなりたい、気分を変えたい、何かを断ち切りたい。
美容室で髪を切ったら、その瞬間から違う自分になれるかもしれない。。。
そんな期待と不安を持ってご来店されたお客様に自分は何が出来るのだろうか?
僕ら美容師の仕事は髪を切るだけではない。
髪だけではなく、その想い、心までを切る。
そんな美容師でありたいと深く思ったそんな出来事でした。
帰り際にお客様から
今日はありがとう。何だか違う自分になれた気がするわ。
平松さんに切ってもらえて良かった。
次回は来年ね。
これほんの気持ちだけなんだけど、お子さん達にどうぞ。
今日は本当にありがとう。
そう言って
帰っていくお客様の後ろ姿を見送りながら涙が止まりませんでした。
平松 賢則
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